いい加減にしろ「朝日新聞」:君たちは軍国主義だ!
朝日新聞は7月16日付の社説「ウクライナ支援 ロシアは停戦に応じよ」のなかで、「米国の対ウクライナ支援の強化で、その継戦能力は高まる。プーチン氏は侵攻の代償が重くなることを認め、早期の停戦に応じるべきだ」と書いている。今回は、こんな論調に騙されてはならないという話をしたい。
ウクライナ支援の強化とは?
社説にある「米国の対ウクライナ支援の強化」とは、14日のトランプ大統領の発言をもとにしている。ホワイトハウスで行われた北大西洋条約機構(NATO)のマーク・ルッテ事務総長との会談の際、トランプは、ウクライナ紛争が50日以内に解決しなければロシアとその貿易パートナーに100%の「非常に厳しい」関税を課すと脅した。加えて、米国がNATO加盟国にパトリオット防空ミサイルなどを売却し、NATO加盟国はそれをウクライナに供給するというかたちで、ウクライナへの武器供給を行うことも明らかにしたのである。
継戦能力の高まりという危険
不可思議なのは、この支援強化がウクライナの戦争継続の能力を高め、それがロシアの戦争での被害拡大という侵攻の代償を重くするという論理である。たしかに、そうなるかもしれない。しかし、朝日新聞の社説は、ウクライナ側の戦争継続による損失についてまったく考慮していない。まるで、トランプのウクライナへの武器供与を是認し、ロシアを軍事的に懲らしめることが停戦につながるかのような論理構成となっている。
だが、戦争継続はロシアだけでなく、ウクライナの死傷者を増やすことを忘れている。ゆえに、「早期の停戦に応じるべきだ」とロシアにだけ呼びかける姿勢に大きな疑問が湧いてくる。つまり、朝日新聞はその社説において、軍事的解決を是として、そのために軍事的打撃をロシアに与えることに賛成している。それが、戦争停止につながるというのだ。しかし、その根拠については語られていな。要するに、ウクライナが軍事的優位に立てば、ロシアの打撃が大きくなるから、できるだけ早めに停戦しろというのだ。そう、ウクライナ戦争の軍事的解決が可能との立場をとっていることになる。だからこそ、ウクライナ人の死傷者には何の関心も寄せていない。軍事的解決のためには、ウクライナ側の犠牲などどうでもいいというわけだ。
なぜ50日なのか?
戦闘を重視するのであれば、本当は、なぜトランプが「50日以内」の戦争の一時停止を求めたかについて熟考する必要がある。論理的に考えれば、その期間内であれば、プーチンは猛攻を行い、東部4州全体の占領を確実なものとするだろう。あるいは、少しでも有利な緩衝地帯を確保しようとするに違いない。
「フィナンシャルタイムズ」の報道によれば、トランプはウォロディミール・ゼレンスキー大統領との7月4日の電話会談の際、ウクライナがモスクワとサンクトペテルブルクを攻撃できるかどうかを尋ねると、ゼレンスキーは「武器をくれるなら、できる」と答えたという。後にホワイトハウスは、トランプはそのような行動を求めたのではなく、「ただ質問しただけだ 」とした。そして、トランプ自身、15日、「いや、彼(ゼレンスキー)はモスクワを標的にすべきではない」、とホワイトハウスの南側芝生で記者団に語った(「インディペンデント」を参照)。
こうした情報を総合すると、14日のトランプ発言は必ずしも「ウクライナ支援の強化」と断言できるものではないことに気づかなければならない。
政治的解決という視角
もっとも重要なことは、ウクライナ戦争は米国が武器を供与しようがしまいが、そんなことでは解決しないという「現実」をしっかりと認識することだ。7月15日付の「ニューヨークタイムズ」の記事のなかで、パリ政治学院の教授でフランス首相のアドバイザーを務めるザキ・ライディはきわめて的確な指摘をしている。
新たな武器の流入はウクライナ人を助けるだろうが、「現地の状況をわずかに変えるだけだ」とライディはいう。この指摘はまったく正しい。だからこそ、彼は、「この戦争は軍事的手段では終わらない」と語る。そう、軍事的支援について語ることはほとんど無意味であり、軍国主義者の罠にかかってしまうことになる。このため、ライディは「いずれにせよ、私たちは政治的解決に取り組まなければならない」、と主張している。たしかに、本当に必要なのは「政治的解決」であり、軍事的支援は両国の国民を死傷させるだけだ。「朝日新聞」のように、停戦のために軍事支援を是認するのは、軍国主義そのものであり、「恥を知れ」と言いたい。
「法の支配」を無視するゼレンスキー
政治的解決には、一方的な解決はありえない。妥協の産物として、ウクライナとロシアの双方が折り合う必要がある。そう考えるとき、ウクライナのゼレンスキーにばかり肩入れしてきた日本や欧米のマスメディアの論調は大いに批判されなければならないだろう。
すでに何度も拙稿で紹介してきたように、ゼレンスキー政権は兵員不足に悩んでおり、男性国民を無理やり動員するためにバスに押し込めるという「バス化」を繰り返している(拙稿「ウクライナで恐ろしい「バス化」=路上強制兵役連行が頻発中!」を参照)。はっきり言えば、ウクライナには「法の支配」など存在しない。もちろん、ロシアにも。
裁判に干渉して、政府の意向に従わせたり、あるいは、汚職捜査に熱心な人物を拘束したり、ゼレンスキーはまったくの独裁を実践している(この話は近く「現代ビジネス」で紹介予定)。それにもかかわらず、「朝日新聞」も「ワシントンポスト」も、「法の支配」を無視するゼレンスキーの実態をまったく報道しない。
そして、まるでウクライナが軍事的に勝利できるかのような論調をとりつづけている。おいおい、いつから「朝日新聞」は軍国主義になったのだ。いい加減にしろ!
本当に必要なのは「政治的解決」であり、「軍事的解決」をはかろうとする動きに対しては猛反対すべきなのだ。なぜなら、軍事的解決はありえないからだ(塹壕と要塞をセットにした戦闘では、決着はなかなかつかない)。もしそうしようとすれば、「核兵器を使用しろ」と言っているようなものだ。
強く感じるのは、日本の新聞社もバカだらけになってしまったなあ、ということである。
こんな国は、戦争に突き進むしかないのかもしれない。哀しい。



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