新著『プーチン3.0』の刊行

しばらくこのサイトへのアップデートをさぼっていました。理由は、新著『プーチン3.0』の執筆に全力投球していたからです。拙著『ウクライナ・ゲート』や『ウクライナ2.0』などを刊行してくれている社会評論社から4月25日にも電子版、5月下旬に実物版が上梓される予定です。

あらかじめ、その中身をここで紹介しておきましょう。章と節をご紹介すると、下記のようになります。

 

第一章 ウクライナ危機の主要因は西側(欧米)にある

  1.ミアシャイマーの主張

  2.2014年のウクライナ危機

  3.NATOの東方拡大

  4.ネオコンの怖さ

  5.プーチンだけが悪人ではない

 

第二章 プーチンを解剖する

  1.殺し屋プーチン

  2.プーチンの権力構造

  3.プーチンは神になれるか

 

第三章 核抑止論という詭弁

  1.核兵器が変えた戦争

  2.核抑止論とは

  3.「核の同等性」(nuclear parity)

 

第四章 地経学からみた制裁

  1.覇権国の傲慢

  2.制裁の歴史

  3.今回の対ロ制裁

  4.制裁は「もろ刃の剣」

  5.「キャンセル文化」の浅はかさ

 

第五章 経済はごまかせない

  1.カネの行方

  2.反危機措置パッケージ

  3.暗号通貨の限界

  4.供給不足という脅威

  5.スタグフレーションの到来

 

第六章 中国との関係

  1.中ロ関係の変遷

  2.中ロ貿易の現状

  3.軍事と北極圏の協力関係

4.ユーラシア経済連合の分断:中央アジアはどうなるか

  5.アジアの安全保障体制と台湾問題

 

第七章 修正迫られる近代制度

  1.民主主義の虚妄

  2.ブレトンウッズⅢ

  3.地球が泣いている

  4.新しいグローバル・ガバナンスに向けて

 

第一章では、「ウクライナ危機の主要因は西側(欧米)にある」という、シカゴ大学のミアシャイマー教授の主張に励まされて、わたし自身が今回のロシアによるウクライナ侵攻をどのように考えているかが展開されています。

わたしが強く思うのは、多くの人々によく勉強してほしいということです。わたしの主張を批判していただくのは結構なことなのですが、そのためにはまず、できるだけ多くの人に勉強してほしいと思うのです。

この章を読めば、いまの事態がなぜ起きたのかを少しは理解していただくことができるのではないでしょうか。

第二章は、「プーチンを解剖する」ために、プーチンの権力構造を詳細に考察したものです。これまで、ソ連という国家があった時代には、「社会主義VS資本主義」といったイデオロギー対立が強調され、その結果として、全体主義国家ソ連のインテリジェンスを通じた支配構造への分析が軽視されてきました。

これに対して、わたしはずっと諜報機関、警察、軍などのいわゆる合法的暴力装置に関心を寄せてきました。だからこそ、第二節の「プーチンの権力構造」において精緻な分析を披歴することができた、と自負しています。こうした解説が書ける者は、日本にはわたししかいないと宣伝しておきましょう。

第三章では、「核抑止論の詭弁」が語られています。この部分は、地政学上の最重要テーマについて、多くの人々に理解してもらうために書いたものです。そのほとんどは、拙著『核なき世界論』に記した内容を踏襲しています。

第四章は「地経学からみた制裁」について説明しています。政治家が勝手に制裁を決めるとき、そこに政治的パフォーマンスが含まれます。その結果、マヌケな政治家による過度な感情的制裁が生まれる。それだけではありません。覇権国アメリカは二次制裁という、第三国への制裁をちらつかせることで、自らの権力の保持・拡大を露骨に求めます。そんな現状に疑問をもってほしいと心から願っています。

第五章の「経済はごまかせない」は、ロシア経済の現状をできるだけ詳細に分析したものです。ロシア経済を専門に丹念に考察しつづけた者として、いまできる最良の分析結果を提供できたのではないかと自負しています。

第六章では、「中国との関係」が語られています。中ロ関係は複雑で、「困ったロシアの中国接近」といった単純なものではありません。その意味で、この章で分析したように、歴史的変遷を前提にした丁寧な考察こそ求められているのではないでしょうか。

第七章の「修正迫られる近代制度」は、わたしが日頃考えてきた問題意識を開示したものです。まあ、その意味で、一番読んでほしい部分かもしれません。いずれにしても、できるだけ多くの人々がもっと勉強する必要性に気づいて、少しでも自分の人生を大切に過ごすことが、より多くのコミュニティや集団、さらに国家や地球全体にほんのちょっとでもプラスになればいい、と思っています。

総分量は400字換算で約700枚になります。過去に公表している論考を活用しながら、いまの思いの丈を書き連ねたものです。

 

というわけで、ぜひともご一読くださいませ。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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