バカ丸出しの朝日新聞:民主主義を踏みにじる言論統制、不勉強の極みーウクライナ和平計画案をめぐって

前回書いたように、ウクライナの和平計画案に対する日本のオールドメディアの報道に注目していると、「朝日新聞」が11月26日付の社説で、「ウクライナ和平 米は被害国に寄り添え」という無知蒙昧そのものの記事を公表していることに気づいた。昔在籍した会社とは言え、これほどまでに不勉強でバカ丸出しであるとは思わなかった。内部にいる社員のなかで、反乱くらい起こしてもらいたいところだ。まあ、私に問い合わせをしてくるほどの正義漢はいないようなので、もはやこんな会社は潰したほうがいいかもしれない。

 

問題点1

まず、驚愕したのは、出だしである。「戦火を交えるウクライナとロシア双方に米国が28項目の新たな和平案を示した。ロシアに極めて有利で、ウクライナにとっては事実上の降伏を迫る内容だった」と書いている。この社説を書いた人物は、「現代ビジネス」のなかで指摘した「降伏」にまつわるインチキについて考えたことがないようだ。(拙稿「決定版! 28項目ウクライナ和平計画に込められたヴァンス副大統領の「怒り」」を参照)

ウクライナについて真摯に研究していれば、「降伏」が過激なナショナリスト、ゴリゴリのナショナリストによって何度も戦争継続の理由に挙げられてきたことくらい知っているだろう。

その意味で、「事実上の降伏を迫る内容」と書くこと自体、こうしたナショナリストを支持するのと同じことになる。そもそも、「降伏」(capitulation)という言葉を安易に使用してはならないのだ。

この社説は、ウクライナのゴリゴリのナショナリストと同じく、「降伏」を理由に、戦争を継続させようとしている。つまり、「戦争継続派」の主張をしていることになる。

 

問題点2

「国際法に背き、残虐な侵略行為に及んだロシアの戦果を追認することにほかならない」という記述は一方的な見方にすぎない。2014年2月のクーデターは、米国政府の支援を受けた過激なナショナリストが引き起こしたものだが、これを「マイダン革命」と呼ぶのもまた一方的な見解にすぎない。クーデターで国全体を奪取しておきながら、国際法などと言われても、そんな理屈はそもそも国際的に通用しない。

昨今のドナルド・トランプ政権の国際的な振る舞いをみていれば、米国主導の国際法がいかにいい加減なものにすぎないかくらいわかるだろう。老婆心ながら、国際法の推移については、岡倉天心記念賞をもらった拙著『帝国主義アメリカの野望』のなかで詳しく論じているから、せめてこれくらい勉強してほしい。

 

問題点3

「米国の理不尽な和平案にウクライナと欧州主要国は素早く対案を提示し、米ウ高官協議に持ち込んだ。ロシアへの領土割譲を前提とせず、現在の前線を起点に交渉を始めると主張したのは当然だ」というのは、まさに、「戦争継続派」であるウクライナと欧州主要国の主張に朝日新聞が組みしていることの証だ。

現代ビジネスの記事でも、紹介した「最善は善の敵」という命題をこの社説はまったく無視している。単なるきれいごとを書くことで、読者を納得させようとしているのだろうが、これは「最善」を装うことで大切な「善」を蔑ろにすることにほかならない。それは、戦争に負けているウクライナの国民を救うには、一刻も早く戦争を停止させ、和平をもたらさなければならないと考える「善」を否定することなのだ。そして、「最善」を装って、この「善」を潰し、戦争をつづけさせるというものだ。最低最悪である。

社説は、「ロシアによるウクライナ侵攻は欧州の脅威でもある。ウクライナ支援をめぐり足並みの乱れが目立つ欧州だが、当事者としてウクライナを全力で支えるべきだ」とも書いている。

「おいおい」である。「敗色濃厚の戦争をなぜつづけるのか」という大きな疑問にこの社説はまったく答えていない。「全力で支える」にしても、戦争に勝利する目算はあるのか。そのために、なぜ欧州がウクライナにカネを出す必要があるのか。もう3年半以上、戦争をつづけているのに、なおも戦争を継続しなければならない理由を説明できるのか。

 

最大の問題点

前回書いたように、心ある人のなかには、ようやく28項目の和平計画への支持を表明する人も現れている。普通の人間であれば、停戦をするために米国の提案をもとに一刻も早く戦争を終わらせるできであると考えるはずだ。

だが、朝日新聞の最大の問題点は、「戦争継続派」として、私をはじめとする「即時平和派」の主張を100%封じ込めてきたことにある。まったく、中立性を無視し、ゴリゴリのナショナリストと同じ立場から「戦争継続」のための情報だけを紙面に登場させてきたのである。完全な情報操作によって、読者の判断を誤らせてきたのだ。まさに、「騙す意図をもった不正確な情報」という「ディスインフォメーション」による工作を4年近くずっと行っていることになる。

これこそ、民主主義を踏みにじる暴挙であると断言できる。民主主義を守るというのであれば、私のような意見を紙面に登場させて、議論を深めればいいだけの話だ。そんなこともできないまま、まったく偏向した情報を流しつづける朝日新聞は「殺人幇助」の右翼ゴリゴリ新聞ということになる。

「現代ビジネス」の拙稿のなかで、私はつぎのように書いた。

「その証拠に、欧州諸国はつぎのようなウクライナの窮状を無視してきた。すなわち、①要衝ポクロフスクをはじめ、喪失する領土が急増しており、敗色がますます濃くなっている、②ウクライナによるロシアの製油所攻撃に対する、ロシアによるウクライナへの電力設備やガスパイプラインなどへの攻撃で、ウクライナの停電が急増するだけでなく暖房供給にも懸念が広がっている、③「ミンディッチ」事件と呼ばれる汚職によって、政敵同士の間でさえも共有されてきた「ロシアに打ち勝つためには国が団結しなければならない」という戦時下の共通認識が、ごく少数の権力者たちが多くの同胞を死に至らしめる戦争から利益を得ているという信じがたい事実によって覆された、④兵員不足が深刻するなかで、強制動員による「バス化」(無理やりバスに押し込めて動員)への国民的反発が強まっている、⑤ウクライナの経済活動は停滞し、欧州や国際通貨基金(IMF)などの支援なしには立ち行かなくなっている、⑥欧州の支援は、凍結したロシア資産を使った「賠償ローン」(事実上の没収)なしには、もはや不可能な状況に陥っている――といった「現実」がそれである。」

こうした「現実」をそもそも報道してこなかった朝日新聞に、無知蒙昧な社説を掲げる資格などあるのだろうか。

こんな最低最悪の言論機関がいまだに存在することに危機感を覚えている。こんなバカ丸出しのオールドメディアによって大多数の国民が騙されているのである。こうした危機的状況をもっと多くの人に知ってほしい。政治家はもちろん、若い人々にも。

 

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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