御用学者の正体:eSIM問題の裏側

御用学者の正体:eSIM問題の裏側

2019年2月3日午後7時44分、共同通信は「携帯料金審議会委員らに4千万円」という記事を配信した。わたしはこのサイトで何度も御用学者を批判してきたが、まさに携帯電話の料金値下げを議論する総務省の審議会の場で、御用学者が「大活躍」していた事実が明らかになったわけである。

審議結果に利害得失が直結する携帯電話会社側が研究寄付金としてカネを渡していたのだ。具体的には、電気通信事業政策部会と下部組織で座長を務める一橋大学の山内弘隆はドコモとKDDIのグループ企業から900万円の寄付を受け取っていた。座長代理の相田仁を含めた、少なくとも8人が寄付を受けていたのだという。

はっきりと言おう。こんな連中が審議しているから、eSIM利用問題が無視されているのだ。このサイトで何度も指摘したように、総務省は御用学者と組んで、キャリアと呼ばれる携帯電話事業者を助けているのである。

政治家でさえ、政府調達にかかわっている企業からの寄付金受領を禁止されているのだから、審議会の委員を務める学者が審議に影響を受ける企業から便宜供与を受けること自体、許されるはずがない。総務省には、審議会メンバー選定にあたってこうした禁止規定さえないのだという。総務省の官僚も学者も「同じ穴の貉」なのだ。

拙著『なぜ「官僚」は腐敗するのか』で書いたように、こうした不透明な仕組みを使って、官僚は節操のない学者を抱き込んできた。官僚も悪いが、学者もきわめて悪辣だ。その結果、eSIM利用問題はいまでもほとんど知られていない。SIMカードを使って、業界寄りの政策をとりつづけてきた結果、日本は世界からまったく遅れてしまった。にもかかわらず、いまなおまったく反省をしていないことになる。官僚、学者、政治家みな「同罪」と言えるかもしれない。まさに「恥を知れ」である。

わたしが暇なら、審議会メンバーがいかに無能であるかを調べ上げ、総務省と学者とのもたれ合いの現状を報告したいところだが、残念ながらそれだけの時間がない。読者は腐りきっている学者どもにも官僚と同じくよく注意を払ってほしい。そして、彼らを看過してきた政治家のバカさ加減を非難しなければならない。

 

追伸

共同通信は2019年2月4日にも、御用学者の実態について報道した。都市ガス市場の規制緩和を議論する経済産業省の審議会トップと補佐役の委員ら計3人が委員就任前を含めて、業界団体「日本ガス協会」から2010年以降計約3900万円の研究寄付金を受け取っていたというのだ。あきれ返るのは、日本ガス協会からも山内は1400万円を受け取っていたことだ。横浜国立大学の大山力は2100万円をもらっていた。

審議会メンバーと業界との癒着によってガス業界の改革が不十分な結果しかもたらしていないことは明らかだ。まさに腐りきった日本の現状を示している。

頑張って、樋口なにがしへの資金の流れも明らかにしてほしいものだと心から願っている。

 

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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