ロシアによる「ウクライナ侵攻」というディスインフォメーション

2022年1月24日午後5時から、「論座」において拙稿「「ロシアのウクライナ侵攻」はディスインフォメーション:真相を掘り起こす」が公表される。ぜひ、これを読んでほしい。

世界中がヴィクトリア・ヌーランド米国務省次官を首謀者とするとみられる人々の流したディスインフォメーションによって惑わされている事態について、丁寧に説明したものだ。

「ワシントン・ポスト」が2021年12月3日に最初に大々的に報道した内容が実は同年11月22日付で、米国通信社の「ブルームバーグ」が報道していた内容をもとに書かれた可能性が高いことを明らかにしておいた。

それだけではない。11月20日の段階で、ウクライナの国防諜報局長官が「ミリタリータイムズ」なる機関とのインタビューで、「ロシアはウクライナの国境周辺に9万2000人以上の兵力を集結し、1月末から2月初めまでの攻撃に備えている」(https://www.militarytimes.com/flashpoints/2021/11/20/russia-preparing-to-attack-ukraine-by-late-january-ukraine-defense-intelligence-agency-chief/)と発言していたことも紹介しておいた。さらに、ロシア側はこのインタビューこそ、すべての出発点であるとみなしていることも記しておいた。

どうやらウクライナの国防諜報局が想定した、ロシアによる「ウクライナ侵攻計画」をロシアの策定した侵攻計画とみなし、大騒ぎをしているらしいのだ。もちろん、それは意図的で不正確な情報であるディスインフォメーションを流して情報を操作し、米国政府にとって有利な状況をつくり出そうとする勢力によって行われている。

 

どうしてバカばかりなのだろう

本当に不可思議に思えるのは、ロシアがウクライナに全面侵攻しようとしているなどという荒唐無稽な話を信じる人が多いことである。「ワシントン・ポスト」が一面で華々しく報道したからこそ、こんなことになったのかもしれない。「ブルームバーグ」の報道を呼んでも、冷静な筆致から、大変だという印象をもたらすことにはならなかった。

そう考えると、有力なマスメディアの報道がいま現在も、まだまだ影響力をもちつづけていることがわかる。逆に言えば、こうしたマスメディアの責任はきわめて重い。それは、日本のマスメディアについても同じだろう。

そうであるならば、このところの「ロシアのウクライナ侵攻」関連の記事において、日本のマスメディアはもっと慎重であるべきだったと思う。「ワシントン・ポスト」の報道を鵜呑みにするのではなく、自らよく検証する努力をすべきなのだ。

わたしが「論座」に書いた原稿は、ただ一所懸命にこの情報について調べた結果であり、真摯に取り組めばだれにでもわかったはずのことでしかない。だが、そんな簡単なことさえだれもできないという、いまの日本のマスメディアの人材不足はあまりにも深刻だと指摘しなければならない。

そもそも、しっかりした社会教育は構築されているのだろうか。あるいは、優れた記者をヘッドハンティングするといった努力をしているのだろうか。

 

リカレント教育やリスキリングの重要性

こうなると、リカレント教育やリスキリング制度の充実といったことが頭に浮かんでくる。この問題については、近く「論座」に公開予定の「ニッポン不全」で論じている。乞うご期待。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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