「システム2」思考の重要性の証

「システム2」思考の重要性の証

「大紀元時報」という中国のニュースを中心とするサイトは、2019年9月30日午前11時に「グレタさんを支える環境団体、中国政府の代理人の疑い 沖縄「ジュゴン裁判」も担当」という興味深い記事を配信した(https://www.epochtimes.jp/p/2019/09/47700.html)。詳しくはこの記事をぜひ読んでほしい。

要するに、国連総会の関連パネルで怒りのスピーチを披露した16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリの背後に全体主義の陰があると指摘した、「システム2」思考の重要性という前回の記事が正しいことがわかったのではないか。印象や感情に導かれやすい「システム1」の思考にとどまっていると、情報操作の罠にかかってしまいやすいのだ。

紹介した記事によれば、グレタの登壇を調整したのは、世界的な法律事務所ハウスフィールドLLP(Hausfeld LLP)および環境保護系の法律事務所アースジャスティス(Earthjustice)の公式代表という。子どもたちによる非難声明は、両所が準備した。とくに、アースジャスティスは中国政府に都合がよく、逆に米国に不都合な活動を米国内外で展開しているとみられている。

このアースジャスティスは日本にも関係している。記事によれば、日本の沖縄県で継続的に米軍の行動に反対する活動を行っている環境活動団体・生物多様性センター(CBD)は、米空軍海兵隊の普天間飛行場から名護市辺野古の移設には、絶滅危惧種の哺乳類ジュゴンの生態を侵害するとして、移設反対運動を展開しているのだが、2003年に米国で米軍による沖縄の基地移転を阻止するために起こした訴訟はCBDの代理としてアースジャスティスが起こしたものなのだ。2018年8月にサンフランシスコ連邦地方裁判所はCBDを敗訴としたが、CBDは控訴したという。

私が強調したいのは、グレタの話にしても、ジュゴンの話にしても、「システム1」の思考にとどまっていると、切迫するかにみえる環境問題の重大性もあって、その背後にある政治性が見落とされてしまいかねないのだ。「システム2」の思考までできれば、全体主義国家、中国の「野望」が透けて見えてくる。

「システム2」のレベルまで思考を引き上げる重要性を肝に銘じてほしい。その意味で、『論座』の私の記事「トランプ弾劾審議の源流はバイデン父子の腐敗問題:ウクライナ危機下のバイデン父子の動きを追うと見えてくる不都合な事実」(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2019092700005.html?page=3)は必読だろう。「システム2」のレベルの思考方法を身につけるためには、何よりもそうしたレベルにある思考の具体例に学んでほしいのだ。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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