「苦労を楽しむ」

「苦労を楽しむ」

「苦境の今こそ、人類の好機 大澤真幸さんが見つめる岐路」という記事(https://digital.asahi.com/articles/ASN475W0VN3TUPQJ013.html?_requesturl=articles%2FASN475W0VN3TUPQJ013.html&pn=8)が朝日新聞電子版(2020年4月8日付)に掲載されました。最後にかれがのべたのは、つぎのことでした。

「ポジティブな道とネガティブな道、どちらに進むかという岐路に私たちは立っています。持続可能な生存には『国を超えた連帯』という道以外あり得ませんが、危機的な状況ではかえって各国の利己的な動きが強まりかねません」

「人間は『まだなんとかなる』と思っているうちは、従来の行動パターンを破れない。破局へのリアリティーが高まり、絶望的と思える時にこそ、思い切ったことができる。この苦境を好機に変えなくては、と強く思います」

こんな危機感のなかで、わたしが思い出すのは、宮崎輝という、旭化成の社長、会長を務めた人物の応接室に掛けられていた「苦労を楽しむ」という額のことです。実は、「ノーベル受賞 吉野彰さんを育んだ旭化成」という記事(https://webronza.asahi.com/national/articles/2019102500008.html?page=1)を、わたしは「論座」に2019年10月29日付でアップロードしました。これを読んでもらえば、宮崎さんがどんな人であったかがわかってもらえると思います。

 

「ソーシャル」ということ

いま、強く感じているのは心の余裕のようなことです。Dishonest Abeおよびその取り巻きの無知蒙昧の結果、日本は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に深く傷ついています。どこにいるかわからないウイルスに怯えながら、毎日を過ごさなければなりません。わたしに言わせれば、安部晋三のようなマヌケを首相にした日本国民に対する咎のようなものがいま、目を刺された民である国民に襲いかかっているだけの話です。

こんな状況になると、いろいろな人の本性がわかりやすく見えてきます。政府、会社、学校、家庭といったさまざまなレベルで、その本質的な問題点が浮き彫りになってくるのです。そして、それらはすべてつながっている。それがソーシャルの本当の意味です。これについても、論座の「新型コロナ禍で考えた「ソーシャル・ディスタンシング」」という記事(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020031700009.html)に書いておきました。この程度のことは常識としてぜひ知っておいてください。

そして、このソーシャルは自国を超えて、世界中の人々とつながっている空間にまで想いを至らせることの重要性を教えています。ソーシャルな関係は自国だけにとどまるのはなく、少なくとも地球全体にかかわっているのです。そのことをCOVID-19はわたしたちに身をもって教えてくれているように感じています。だからこそ、『国を超えた連帯』の必要性について、大澤さんは言及したわけです。

 

Dishonest Abeの末路

しかし、そんなことに想いを寄せるよりも、多くの人々は利己的なふるまいに傾きがちです。それは仕方のない話ですが、だからこそ、「苦労を楽しむ」という逆転の発想が必要なのだと思います。ネガティブ思考からポジティブ思考への転換こそ、少しだけ心に余裕をもたせてくれるのではないでしょうか。

ただし、ここでいう「苦労」が「絶望」である場合、「絶望を楽しむ」境地になることはおそらく難しいでしょう。「生きるか死ぬか」といった絶望の淵にまで追い込まれたとき、人は心に余裕をもつことはできないでしょう。

ゆえに、大澤さんが「破局へのリアリティーが高まり、絶望的と思える時」というのは、よほどの事態でなければなりません。心配なのは、嘘八百を並べ立て、公文書の偽造・隠蔽を強い、自らの公職選挙法違反の隠蔽を平然とやっている安倍晋三のような人物が首相でいるかぎり、苦労が絶望に転げ落ちる事態がありうるかもしれないということです。

嘘で固めた政権が何をしても、それを信じる人は少ないでしょう。Dishonest Abeやその取り巻きを信じる人は頭が相当に悪いか、NHKを筆頭とするテレビしか見ないマヌケだからでしょう。

経済学でいう「ソーシャル・キャピタル」は信頼に基づいています。この信頼が喪失すると、さまざまなところで不要なコストがかかるようになります。不信感によって、「買いだめ」や「買占め」が横行したり、高値でマスクを売って巨利を得ようとしたりする行動を誘発します。

 

絶望の淵で

安部のもとで、巨額の補正予算を組んだところで、つまり、政府が赤字国債なるものを発行して資金を捻出しようとしても、そんな国債をだれが買うのでしょうか。そろそろ、日本銀行による永久国債購入について議論しなければ、日本は税制破綻に追い込まれるに違いありません。この点については、論座に「新型コロナ対策 日本の喫緊の課題は「ヘリコプターマネー」導入か」という記事(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020032200004.html)を書いておきましたから、ぜひ熟読してみてください。常識的に考えて、多額に通貨発行は確実にインフレのマグマを燃えたぎらせることになります。早ければ年内、おそくとも1、2年以内に円が猛烈な円安にふれる可能性が高いと思います(いまは石油価格の暴落で日本は助かっていますが)。自民党の真っ黒な政治家と結託した業界だけが生き残り、ロシアでいう「屋根」を求めてブラックなつながりがはびこる腐敗構造がいまよりも強く広範囲にできあがることになるでしょう。

野党はマヌケどころか、バカばっかりですね。デフレ下では、消費税率の引き下げをしてはいけません。もし税率が3カ月後に10%から5%になるとわかれと、みなさんはどうしますか。何も買わなくなるでしょう。猛烈な買い控えはデフレスパイラルを深刻化させます。ただでさえ、デフレ脱却ができないわけですから、事態は縮小均衡へと真っ逆さまに進むでしょう。こうなったら、マヌケな野党も支持者を失います。

大学生にとっては、就職難が待ち構えています。若者を雇うよりも、世の中にあふれ出た失業者を安価な賃金で雇う動きが広がるでしょう。貧富の格差がますます拡大するのは確実です。自由に働くGig Economyはすばらしいと思いますが、ベーシックインカムが実現していなければ、これも不幸をばらまくだけです(ベーシックインカムについては、「「働きたいけれども働けない者は食べてもよい」」(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020012400006.html)をぜひ読んでみてください)。

 

Dishonest AbeとDishonest Putin

COVID-19の出現、その後の中国政府の隠蔽、各国の対応の遅れなど、さまざまな問題がありました。そうしたなかで、毅然として政策ができないでいるのは、日本くらいでしょうか。実は、ロシアも日本によく似たところがあります。安部とプーチンはよく似ています。どちらもdishonestなのですが、まあ、安部のほうがずっと不誠実かもしれません。二人がよく似ているのは、バカな国民に支持してもらっているという点にあります。テレビに代表されるマスメディアに騙されているわけです。

何が言いたいかというと、もういい加減、若者が政治にしっかりと関心をもたないと、苦労から絶望へと転落しかねないという悪夢が近づいているということです。政治に無関心でいても、何とかなる時代はもう終わりつつあるのです。

わたしが「21世紀龍馬会」をつくって、若者を鼓舞しようと思ったのはこうした事態に備えるためでした。どうか、まだ心に余裕をもてるうちに、政治を変えるために努力してほしいと思います。まじめな話、もうあまり時間が残されていないのです。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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