「フラミンゴ」はどうした? 軍事専門家やオールドメディアの不誠実 「トマホーク」問題の裏側
私は、信頼できる軍事専門家をだれ一人知らない。以前、訪ロするたびに会っていた軍事専門家が三人いる。しかし、彼らの考察を最近、見かけることはない。日本では、軍事専門家が「嘘」ばかり吐いてきた。それは、欧米諸国でも同じである。そして、そうした似非専門家の発言をオールドメディアが流布することで、多くの人々が騙され、彼らもまた騙す側に回っている。
「フラミンゴ」の例
最近、もっとも典型的な例と言えるのが、長距離巡行ミサイル「フラミンゴ」の話だろう。たとえば、読売新聞も日経新聞も、2025年9月2日、「ウクライナ、新型巡航ミサイル「フラミンゴ」を初の実戦使用か…最大射程3000kmでシベリアも一部圏内に」とか、「ウクライナ、国産新型ミサイル「フラミンゴ」初使用か クリミアを攻撃」という記事を配信している。
ところが、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は最近、長距離巡行ミサイル「トマホーク」を欲しがっている。普通の頭脳があれば、ウクライナがフラミンゴなる巡行ミサイルを開発し、量産化しつつあるのなら、なぜ同じ巡行ミサイルの米国製トマホークを入手したがるのだろうか、と疑問に思うだろう。しかし、検索エンジンを使用して調べてみると、読売も日経もこの疑問にまったく答えてくれない。無視することで、誤魔化しているのだ。
「ファイア・ポイント」の言い分
唯一、疑問に答えているのは、2025年8月19日に公表された「専門家、ウクライナ製長距離ミサイル「フラミンゴ」と米国製「トマホーク」の比較」という記事である。「ウクルインフォルム通信」という、ウクライナで唯一の国営通信社の日本語版の記事だ。つまり、ウクライナ政府べったりの報道なのだが、その分、いかにウクライナ政府が「フラミンゴ」を製造するファイア・ポイントと癒着しているかがわかる。
記事は、「ウクライナの防衛企業「ファイア・ポイント」の専門家は、ウクライナ製長射程ミサイルシステム「フラミンゴ」は、ウクライナがたとえ米国製ミサイル「トマホーク」の供給を受けられなくても、ロシアとの戦争においてウクライナが勝利を収めるための重要な要因となり得ると指摘した」という一文からはじまっている。ファイア・ポイントの匿名の人物は、「なぜなら、『トマホーク』は第一に旧式であるからであり、第二に技術的な特性ではるかに劣っているからだ」と説明しているという。その人物の発言として、「現在の『フラミンゴ』と比べて、それは全てにおいて劣っている。第三に、輸送費と運搬手段を含まなくても、それらの価格はどうやら5倍する」とまで書いている。
もちろん、まったく根拠のない戯言だが、「ウクルインフォルム通信」はファイア・ポイントの言い分を素直に書いているだけだ。さらに、「フラミンゴ」ミサイルは発射までに20〜40分しかかからず、目標への射程距離は最大3000キロメートル、ミサイルの最大速度は時速950キロメートル、爆薬の重量は1000キログラム以上だと力説した。一方で、「トマホーク」は旧式で数倍高価であり、現在の戦争状況ではそれほど効果的ではないとものべた、と記事は書いている。「フラミンゴ」はもう試作品ではなく、完全にウクライナの量産品であるとも記している。
このウクライナ側の報道が正しいのであれば、なぜ高価で性能に劣る「トマホーク」をウクライナに供与する必要があるのか、だれか説明してほしい。
私が激怒するのは、オールドメディアの一貫性に欠けたいい加減な報道にある。自分たちの報道くらい、しっかり記憶して、新しい出来事との整合性について熟慮し、過去の報道との関連に配慮した報道をしろ、と強調したい。
私の記事の整合性
私は、2025年9月4日付の記事「腐敗まみれのウクライナ軍事産業:ゼレンスキー周辺は「真っ黒」」を「現代ビジネス」に公開した。そのなかで、ファイア・ポイントが腐敗にまみれた会社であり、フラミンゴも「似非」である可能性が高いと書いておいた。
この記事との整合性を守ると、ウクライナは自国内でまともな長距離巡行ミサイル「フラミンゴ」を本当は製造できないから、米国製の「トマホーク」を欲しがっているのではないかということになる。
この記事の直前の8月31日、多くのウクライナのテレグラム・チャンネルが、フラミンゴの発射とされるビデオを公開した。ところが、このミサイルがとこに命中したかまではわかっていない。
10月10日付のドイツのDie Weltは、クリミア北部の国境基地への攻撃で3発の「フラミンゴ」ミサイルが使用された、と情報源を明かさずに報じた。これは実戦での試験だったと推測している。ノルウェーのミサイル専門家は、2発だけが目標に到達し、1発は目標から数百メートル離れた場所に落下したとみている。「一見すると、あまり良い結果とは言えない。しかし、攻撃によって直径15メートルものクレーターが形成されたことを考慮すると、精度の不足は巨大な破壊力で補われていることが明らかだ」とWeltは記している。
他方で、「ウオール・ストリート・ジャーナル」のアリステア・マクドナルド記者は、「ウクライナには、長距離ミサイル「フラミンゴ」を大量生産する資金がない」とのべている(「テレグラム」を参照)。
その意味で、8月27日付のThe Economistが、「現在は1日1基の生産だが、10月までに1日7基まで増やす予定だ」と書き、10月5日付で「ファイア・ポイント社は現在、1日に2、3機のFP-5(フラミンゴ)を製造しているが、10月末にはその数が7機に増える予定である」とした記述の信憑性は疑わしい。
似非専門家に騙されるな!
この「フラミンゴ」を喧伝した似非専門家の一人が秋元某というわけのわからない軍事専門家だ。こんな人物がBS・TBSの番組に登場して、出鱈目を吹聴している。こういった連中は、2023年、米国製のエイブラムス戦車が戦局を好転させるとのべていた。「おい、それからどうなったか、説明してみろ」である。あるいは、彼らは、F-16がウクライナ軍の攻勢に役立つと主張していた。「おい、どうなったか、説明してみろ」と繰り返そう。
結果的に、こいつらは「嘘」をついてきたことになる。
そして、そうした連中がテレビで「嘘」を吹聴し、多くの人々を騙し、彼らもまた騙す側に回る。これは、「先の大戦」で起きたことを同じメカニズムだ。
「拝啓高市新総理、トランプとのパイプ作りの「秘訣」指南します!」
だからこそ、2025年10月25日付で「現代ビジネス」に拙稿「拝啓高市新総理、トランプとのパイプ作りの「秘訣」指南します!」を公表しておいた。この原稿は、高市が首相になった21日に書いたものである。その後、24日、高市は同日開催された、英国のキア・スターマー首相の肝いりで結成された「有志連合」の会議にテレビ会議形式で参加した。これは、ロシアの石油とガスのボイコット、ロシアの国家資産を利用したウクライナへの融資の可能性、武器の輸送の加速を推進するためにつくられたもので、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領もデンマーク、オランダ、NATOの指導者たちとともにロンドンを訪れた。
外務省幹部を一掃せよ!
高市の同会議への出席は、私の高市への書簡の趣旨からすると、最悪である。なぜなら、この「有志連合」参加国はいずれも「戦争継続派」であり、少しでも長くウクライナによる代理戦争を継続させるためにロシアの凍結資産を事実上、没収するという国際法違反も厭わない国々だからだ。なぜこんな国に日本が参加する必要があるのだろうか。よく考えてほしい。
ついでに、明確にしておきたいことがある。それは、いまの外務省幹部は全員更迭しなければならないと点だ。彼らは、いわばウクライナ戦争を「バイデンの戦争」に仕立ててきた連中であり、基本的に戦争継続派だ。彼らには、2022年4月、和平寸前までこぎつけたウクライナに対して代理戦争をはじめるよう要請したジョー・バイデンによるウクライナ戦争に加担したという「大いなる前科」がある。こんな人たちは全員、更迭しなければならない。そのうえで、「バイデンの戦争」を終結させることに尽力すべきなのだ。
ところが、ほとんど何も知らない新首相に前述の会議に出席させるとはいったい、この「バイデンの戦争」グループ、すなわち代理戦争継続派はいったい何を考えているのだろう。高市が本当に、「安倍2.0」をもくろむのであれば、官邸に少なくとも代理戦争継続派ではない人物を据えて、日本外交を根本的に立て直さなければならない。
いずれにしても、日本は外務省もオールドメディアも、あるいは、似非軍事専門家も、みな束になって戦争に向かってまっしぐらのようにみえる。
哀しい。



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