オールドメディアによる洗脳:The Economist、毎日新聞のひどさ

ウクライナ情勢の厳しさ、ひどさ、腐敗などについて報道しないまま、オールドメディアは偏向報道をつづけている。露骨な洗脳をつづけているのである。常に「悪」はロシアであり、あくまでウクライナ支援を継続し、戦争をつづけるべきだという論調だ。もちろん、戦争継続を直接説くのではなく、戦争を止めようとしないロシアが悪いという論法を使う。しかし、それは、いつまでもウクライナ支援をつづけて戦争をつづけさせようとする自分たちの隠れ蓑にすぎない。

 

The Economistの「勇ましさ」

ところが、12月3日付のThe Economistの記事は、こうしたオールドメディアのこれまでの論法と異なり、自らの本性を丸出しにしたものだった。ある意味で、潔い。

「もう迷っている場合ではない。ウクライナを救うため、欧州が負担すべきだ」というタイトルの記事では、「ウクライナには予測可能な複数年資金が必要だ。予算を維持し、砲弾を製造し、発電所を再建するために頼れる4年または5年の支援パッケージである」と書き、欧州がこれを負担する覚悟を決めよと迫っている。つまり、戦争をもう4~5年つづけることを前提に、あくまでウクライナ支援を継続するように求めているのである。まさに、欧州諸国の政治指導者の本性丸出しの主張を披歴していると言えるだろう。

だが、ウクライナに代理戦争をさせるということは、彼らの命を奪うことを推進することにほかならない。そんなことが本当に許されるのだろうか。

 

無知蒙昧の毎日新聞

同じ12月3日付で、『毎日新聞』は「ウクライナ侵攻 和平仲介で米迷走 露を利すれば筋が通らぬ」という社説を公表している。こちらは、「トランプ政権は筋が通った和平案の作成を急ぐべきだ」と書くことで、表面上は早期停戦・和平を提唱しながら、事実上、戦争継続を許してきたウクライナや欧州と同じ態度をとっている。

私からみると、何もわかっていない無知蒙昧の戯言が書かれているにすぎない。「一連の交渉で目に付いたのは、ロシア寄りのトランプ政権の姿勢である」という文は、まさにその証拠だ。

トランプが犬死を減らすために、停戦・和平に邁進しているのは、ロシアが勝っているからであり、一刻も早く戦争を停止しなければ、ウクライナの人命も領土もますます失われてしまうからにほかならない。それを止めるには、ロシア寄りであるかどうかを問う姿勢そのものが間違っている。勝っているロシアから攻撃停止という譲歩を引き出すには、ウクライナの譲歩が必然であるからだ。その本質を理解しなければ、戦争を止めさせることはできない。

 

日本人ならわかる過去の日本軍の愚かさ

思い出してほしい。普通の頭脳をもった日本人であれば、沖縄決戦で日本軍が負け、住民に多大の犠牲者が生まれたとき、日本軍は降伏するべきであったと思うだろう。そうしていれば、二つの原子力爆弾が落とされることもなかったであろう。つまり、沖縄で惨敗したとき、連合軍の攻撃停止という大幅な譲歩を引き出すために、日本もまた大幅な譲歩を進んですべきであったのだ。その譲歩は、「降伏」にみえるかもしれないが、原爆後の「無条件降伏」はましなものであっただろう。こうした過去の過ちを知っていれば、日本政府はウクライナに対して、いまこそ譲歩を迫るべきなのだ。「負けるが勝ちだ」と。

こう考えると、オールドメディアの主張は唾棄すべき戯言にすぎないことがわかるだろう。

 

ウクライナの惨状を報道せよ

こう書いても納得できない人がいるかもしれない。それは、オールドメディアがウクライナの惨状を報道してこなかった結果でしかない。たとえば、12月3日の「報道1930」では、小泉悠(東京大学先端科学技術研究センター准教授)/ 平野高志(ウクルインフォルム日本語版編集者)/ 横江公美(東洋大学 教授)という「似非学者」が登場し、駄弁を弄していた。ゼレンスキー政権のミハイロ・ポドリャク大統領府顧問も途中に出てきたが、彼はゼレンスキーの犬であり、嘘で嘘を固めて、海外の無能な似非ジャーナリストを騙してきた最低最悪の人物にすぎない。登場人物はみな、ウクライナの惨状に触れないまま、つまらぬ発言に終始していたのであった。

たとえば、今回の「ミンディッチ事件」にしても、私の書いた論考に匹敵する詳細な分析を公開した日本人がいるか。この事件はウクライナの腐敗のごく表層にすぎない。実は、ウクライナは国中に腐敗が蔓延している。それは、人間の命をカネで品定めするという原理で成り立っているから、まさに腐敗の蔓延が「人間の安全保障」を破壊していることを意味している。すでに、書いたとように、企業は動員を回避できるように従業員に装うことで、大きな「利益」を得ている。これが「現実」なのに、そうした「真実」をオールドメディアはまったく報道しない。その結果、戦争継続に伴うウクライナ人の辛酸を大多数の人は知らない。

たとえば、いま、ウクライナ全土で、頻繁に停電が起きている。対処法として、発電機を使う企業が増えているのだが、それは電力を得るためのコスト増を引き起こしている。この負担増は明らかにインフレ要因となっている。ところが、そんな事実さえ日欧米の人々は知らないだろう。

オールドメディアが「殺人幇助」をしていると、私は何度も書いてきた。事態は本当に深刻なのだ。

というわけで、「知られざる地政学」の連載(120)では、ここで大雑把に書いた話をもう少し詳しく書いてみようと考えている。12月13日と14日に公開予定だ。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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