聴講の勧め

聴講の勧め

塩原 俊彦

2018年4月13日(金)から新年度のわたしの授業がはじまります。そこで、2限に行う「世界経済論」の授業について「聴講の勧め」を書いておきたいと思います。というのは、先般、総合商社の幹部と話をした際、かれが慶應義塾大学の井筒俊彦の授業を聴けなかったことが残念だったと言っていたからです。かれはわざわざ一橋大学にまで出向いて、阿部謹也の授業を聴いたことがあるとも言っていました。いずれも故人になってしまいましたが、いずれも碩学の泰斗であり、わたし自身、私淑しています。

 

わたし自身は大学生のとき、他大学の授業に正規の聴講生として週一回、通っていたことがあります。ロシア経済を学ぶために上智大学に行っていました。伊東さんという外務省OBの授業でした。その息子は早稲田大学教授ですね。

 

そこで、せっかくなので、他大学の学生を含めて、より多くの人が授業を受けてくれることを希望しつつ、今年度の授業について宣伝してみたいと思います。

 

ハーバードの授業をめざして

「世界経済論」の授業は毎年、異なる内容の授業をしています。今年度は、「エネルギーからみた21世紀の地政学」です。基本的には、Meghan L. O’Sullivan, Windfall: How the New Energy Abundance Upends Global Politics and Strengthens America’s Power, Simon & Schuster Paperbacks, 2017を中心に、The Economist, March 17th , 2018のSpecial Reportを参考にしながら授業を進めます。オサリバンはハーバード・ケネディ・スクールの教授であり、ハーバードの授業に匹敵するような内容にしたいと考えています。

 

簡単な授業計画は下記の通りです。

 

日程

4/13       オリエンテーション

4/20       ヘゲモニーの変遷とエネルギー

4/27                ヘゲモニーの変遷とエネルギー

5/11           エネルギーをめぐる基本的理解

5/18       エネルギーをめぐる基本的理解

5/25       シェール革命(石油・ガス) その1

6/1             シェール革命(石油・ガス) その1

6/8                      シェール革命(石油・ガス) その2

6/15                    シェール革命(石油・ガス) その2

6/22                          米国の優位

6/29       米国の優位

7/6          欧州情勢

7/13          ロシア情勢

7/20       中国情勢

7/27       中東情勢

7/31       今後の展望

8/3        試験

 

昔、英語だけで授業をしたことがあります。すると、受講生が30人ほどから4人にまで減りました。今回は英語だけの授業にはしませんが、英語の資料を活用することで3割から4割程度は英語を使った授業をしようと目論んでいます。

 

エネルギーからみた地政学

エネルギーは人類社会を大きく変えてきました。その意味で、エネルギーに注目すると、世界全体の政治・経済状況を長期的に考える視点が生まれます。石炭に支えられて産業革命が花開き、ついで石油によって「戦争の世紀」たる20世紀を迎え、核によって21世紀は依然として混沌としたままです。こうした状況下において、シェールオイルやシェールガスの採掘を可能にした技術革新によって、世界全体が大きな影響を受けつつあります。

 

長期的視点から、米国中心の覇権が台頭する中国にどう立ち向かおうとしているのか。それに対して、ロシアはどうなるのか。シェール革命の中東への影響はどうか。欧州や日本はどう対応すべきなのか。こうした疑問にこたえる授業にしたいと考えています。

 

「21世紀龍馬」には、こうした長期的視点をもつことが望ましいと思います。

 

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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