「大本営発表」というディスインフォメーション:Dishonest Abeに騙されるな

「大本営発表」というディスインフォメーション:Dishonest Abeに騙されるな

Dishonest Abeたる安倍晋三首相は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)抑止を「第三次世界大戦」にたとえたそうである(https://www.asahi.com/articles/ASN4J3TFYN4JUTFK006.html)。戦争の悲惨さを知らない「マヌケ」なDishonest Abeの能天気な発想だと思うが(筆者は3回、戦争保険に入ってチェチェンでの戦争をこの身で実際に体験したことがあるから、戦争の悲惨さを知っている。Dishonest Abeとは人間のデキが違うと言っておこう)、そのイメージにそってここではマスメディアによる報道が「政府寄り」になっている問題を論じてみよう。

 

情報操作の典型

まず、政府は国民からの批判の矛先をできるだけDishonest Abeに向かわないように、「意図的で不正確な情報」であるディスインフォメーションを流そうとしている。それをマスメディアに担わせようとしていることに気づかなければならない。

その典型がPCR検査の実施件数を明かさずに、PCR検査陽性者と死亡者の情報に焦点をあてた報道をさせてきた事実によく現れている。一時は、PCR検査の抑制が医療崩壊につながらないとの言説が急に台頭し、政府の抑止策を是認する報道が増えたことがある。これなどは、マスメディアが安易に政府による「大本営発表」を垂れ流すだけという、まったく批判精神のなさを如実に示している。こんなばかなことを言う「専門家」に対しては、これを厳しく批判する人を登場させればいいだけの話だ。あるいは、政府の息のかかった人物がこんなことを言っても、徹底的に無視すればいいだけの話だったのである。

逆に、抗体検査については、ようやくマスコミ報道がなされるようになっているが、その重要性の指摘が明らかに遅れてきた。筆者のようなディレッタントでさえ、4月3日の段階で、「論座」において、「コロナ対策 抗体検査を急げ」(https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020040900010.html)という記事を開示したのに、この段階では日本のマスコミは抗体検査報道をほとんどしてこなかった。おそらく「大本営」によって、報道を抑制する圧力がかけられていたのだろう。

 

国内でディスインフォメーション工作をしかけるDishonest Abe

ディスインフォメーションはマニピュレーション(情報操作)を伴う「情報戦」を意味している。いま、Dishonest Abeがやっているのは国内でのディスインフォメーション工作だ。その典型が、萩生田光一文部科学大臣が4月28日の閣議後の会見で、学校の9月始業について、「一つの選択肢として考えなければならない」と発言したことだろう。

筆者は教育のような問題は、だれでも一家言をもちうる政治問題化しやすい「危険なテーマ」であるとずっと思ってきた。経済学で言えば、統計学や計量経済学は数学的素養がなければなにも意見をもちえないが、ごく一般的な経済学については多少とも口をはさむことができる。同じように、高度な数式を駆使した物理学や数学については、真の「専門家」と呼ぶに値する「専門家」は世界中に数百人しかいないから、政治問題化することは決してない。

これに対して、教育問題はだれでも口をはさめる問題だから、ついついこうした議論に巻き込まれてしまう。その結果、目先の大切問題が忘れられて、Dishonest Abeの失政を誤魔化すことが可能となる。

実は、この「テーマ設定」こそ、ディスインフォメーション工作にとってきわめて重要な手段なのである。文芸春秋社が『論点』なるものを毎年出版してきたのも、ディスインフォメーション工作にとってテーマ設定が根幹をなしていることをよく知っているからのほかならない。別言すると、「アジェンダ」という議事日程を決めるような行為そのものに意図的な「作為」が込められている。そして、関心を誘導し、情報操作に導くのだ。

いま大切なのは、「生きるか死ぬか」の問題であり、「出口戦略」としての包括的なロードマップづくりであり、9月始業の問題ではない。大学で教える者として言えば、いま行っている授業をすべて否定するような議論が許されるはずがない。

 

「マヌケ」な野党

心配なのは、野党議員も政治家であり、国民の多くが首を突っ込みやすい教育問題に流されてしまいやすいという現実である。たとえば、「マヌケ」な野党は一時期、COVID-19対策として消費税の5%への引き下げといった暴論を強硬に主張していた。この主張が「マヌケ」なのは、すでにこのサイトでも指摘したように、こんなことをすればデフレスパイラルがますます強まり、日本経済がどん底にまで突き落とされてしまうからだ。

こんな「マヌケ」な野党だから、Dishonest Abeのディスインフォメーション工作に惑わされて、9月始業の大合唱になることを恐れる。

Dishonest Abeばかりか、Dishonest Koikeたる小池百合子東京都知事もまた、早くも9月始業賛成の意向を示し、自分が顔を出す場面をより多くつくりだそうとしている。「COVID-19禍」で失われる6カ月の損失よりも、自らの再選を重視するだけの人物に唖然とする。東京オリンピック延期が決まるまで、ほとんどなにも対策を講じてこなかった人物がのべる発言など、そもそも報道するに値しないのだ。

こんな状況にあることを知る筆者としては、9月始業問題自体を取り上げる必要はないと考えている。ただ、一つだけ言いたいのは、地方ごとに感染状況は異なっているのであり、「マヌケ」な知事によって感染がひろがった東京、大阪のような地域と高知をはじめとする地域では事情が異なることを忘れてはならない。自らの失政を隠すために、東京や大阪ほど9月始業を言い募ろうとしている事実に目を向けてほしい。そして、もちろん、失政をつづけるDishonest Abeもまたこの部類に属している。

 

Dishonest Abeによる国内ディスインフォメーション工作

日本全体が「過度の同調性」によって、世界からまったく遅れてしまってきたことはこのサイトでしばしば指摘している。ディスインフォメーションとミスインフォメーションさえ区別できず、こうした言葉さえ知らない人々だらけの日本にあって、Dishonest Abeはその政権維持のため、国内においてディスインフォメーション工作を行ってきた。

筆者は未刊の原稿『騙しのテクニックに学ぶ騙されない方法』の第1章「よちよち歩きの日本」の第一節でつぎのように書いた。以下に縦書きを横書きにしたものをそのまま示そう。

 

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安倍晋三およびその周辺はディスインフォメーションによる情報操作を露骨に行っています。二〇一七年五月二二日付の読売新聞朝刊は文部科学省事務次官だった前川喜平が出会い系バー通いをしていたと報じました。そこで、買春客となっていたかのように報道して、学校法人「加計学園」をめぐって「総理のご意向」と記した文書の存在を本物と証言していた前川発言の価値を貶めようとしたわけです。まさに、「意図的で不正確な情報」というディスインフォメーションによって、首相周辺は安倍晋三首相と加計孝太郎理事長との関係が公正な行政判断を歪めたという批判をかわそうとした姑息な意図を感じます。一説には、首相官邸が読売新聞の記者を使って、この記事を掲載させたのであり、露骨な情報工作を首相周辺が行っているとみて間違いない事例でしょう。

 二〇一八年三月には、文部科学省が名古屋市立中学校で講師を務めた前川の授業内容や録音データの提出を市教委に求めていた事件まで起きました。個別の授業を監視しようとする行為は教育基本法第一六条に違反する疑いが濃厚です。これも、安倍を真っ向から批判する前川に関する「意図的で不正確な情報」たるディスインフォメーションを使って、札付きの前川を監視するために自民党議員のイニシアチブのもとで行われたものでした。

 恐れ入るディスインフォメーションは、二〇一五年二月に安倍と加計が面談したという愛媛県や今治市の公文書にある記述は誤りで、両者は会っていなかったというディスインフォメーションです。事実確認が困難なことをいいことに、どう考えても嘘としか思えない情報を流し、それが真実であるかのように偽装するために県や市に面談の説明をした加計学園事務局長らを、嘘を流布したという理由で処分するといった、嘘に嘘を重ねる事態になっています。なお、ここまで書いたことを「嘘」ではないと言い張る人がいるかもしれません。そういう人には「嘘」を「意図的で不正確な情報」、すなわち「ディスインフォメーション」と訂正しておきましょう。あくまで念のためですが。

 

 安倍首相自らディスインフォメーションを流す

 他方では、森友学園への国有地土地払い下げをめぐる財務省による公文書改竄の過程でも、数々のディスインフォメーションが政府周辺から意図的に何度も流されました。この事件は二〇一七年二月一七日に衆議院予算委員会での民進党の福島伸享議員への安倍晋三首相の二度にわたる発言を発端としています。議事録にある安倍の言葉をそのまま引用してみましょう。

 「この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。
 ただ、誤解を与えるような質問の構成なんですが、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。」

 「繰り返しになりますが、私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。全く関係ないということは申し上げておきたいと思いますし、そもそも、何かそういうことが動いているかのようなことを前提にお話をされると、この小学校に通う子供たちもいるんですから、こういうことはやはり慎重にちゃんとやっていただきたい、このように思います。」

 この二つの発言はまさに「意図的で不正確な情報」であり、ディスインフォメーションそのものです。第一に、二度にわたって同じ趣旨の発言をしたこと、第二に、売り言葉に買い言葉といった感情の高ぶりのなかでの失言とは思えないことから、安倍が意図的に不正確な情報を国会の場で発したと推定できます。森友学園への国有地売却に妻が「かかわっていた」ないし「関係していた」ことを知っていたかどうかはわかりませんが、ともかくこれを全否定することで、自らの潔白を強く印象づけようとしたのはたしかでしょう。

 昭恵夫人が「かかわっていた」、あるいは「関係していた」ことは確実であり、百歩譲っても、「全く関係ない」という情報は「不正確」です。なぜならこの土地の貸付を認めるための「特例承認」のための決裁文書のなかに安倍昭恵夫人の名前が複数あったのに、それをすべて削除する改竄が行われていたからです。夫人の取引への「関係」や「かかわり」を隠蔽するために改竄が行われたと考えるのが自然でしょう。ゆえに、安倍首相の発言はディスインフォメーションそのものといわなければなりません。首相自らディスインフォメーションを流した時点で、「アウト」であり、首相失格、議員失格と思いますが、いかがでしょうか。後述するように、ディスインフォメーションを世界中に撒き散らしているロシアにおいては、プーチン大統領自身がディスインフォメーションの首謀者であることを徹底的に隠そうとしています。それに対して日本では、ごく平凡な人がみても、安倍が自らディスインフォメーションを流しているのが見え見えなのです。

 その後、このディスインフォメーションを隠蔽するために、当時の佐川宣寿財務省理財局長らが公文書の改竄という、犯罪と目される行為に手を染めました。それだけではありません。このディスインフォメーションに基づいて、この不透明な国有地取引に昭恵夫人が無関係であったとか、合法的な取引が行われたと偽って、安倍は二〇一七年一〇月に衆議院選挙を実施しました。ディスインフォメーション工作のもとに、大義名分がはっきりしない選挙をやったわけです。歴史家は安倍晋三を「希代の詐欺師」と書くことでしょう。

 

「ディスオネスト」なトップによる「ディスインフォメーション」

 すでに日本という国でも、ディスインフォメーションが日常化しつつあると言えます。不都合な出来事が起きても、「意図的で不正確な情報」を流して責任を転嫁したり、白を切ったりしながら、問題の風化を待つというやり方が横行しつつあります。日本大学アメリカンフットボール部員による関西学院大学アメフト部員への暴行事件にしても、最高権力者である日大理事長の田中英壽はこうしたやり方で自らの地位を守ろうとしています。暴行の指示をしていたにもかかわらず、そんなことはしていないとディスインフォメーションを流し、内田正人アメフト部監督は自らの責任を回避しました。それができなくなると、監督や常務理事などの職を失いました。そして、ついには懲戒解雇に至るのです。

 少し前には、日本相撲協会でもディスインフォメーションが横行しました。貴ノ岩への暴行をめぐる日本相撲協会と貴乃花親方との騒動は記者クラブに守られた記者およびそのOBがいかに「へっぴり腰」であるかを示しました。問題の核心が白鵬を中心とするモンゴル人力士による八百長疑惑であり、これに反発する貴乃花部屋の貴ノ岩に対して、白鵬らが制裁を加えたのではないかという見立てがテレビや新聞で語られることはありませんでした。『週刊文春』が報道したくらいでしょう。八角信芳理事長を中心に相撲協会は、協会を利するディスインフォメーションを流し、及び腰のマスメディアを情報操作して問題の核心部分である八百長問題の隠蔽に成功したのです。

 安倍、田中、八角ともに〝dishonest〟(ディスオネスト)、つまり不誠実で不正直なのです。とくにひどいのは安倍でしょう。「最後まで膿を出し切る」と言いながら、そうした努力をしないというのは「ディスオネスト」の極みと言えましょう。人の上に立つ「ディスオネスト」なトップが率先して「ディスインフォメーション」を流しても開き直っていられる時代に日本も入ったと指摘しなければなりません。深刻な事態に立ち至っているのです。

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この記述をいま読むと、筆者が日大や日本相撲協会の問題に引きずられた議論を展開していることに違和感をもつ。筆者自身が「話題提供」というディスインフォメーションに影響されすぎているように感じられる。もちろん、「普通の人」に理解してもらうには、こうしたわかりやすい議論に惹き込むことが求められているという逆説がある。その意味で、ディスインフォメーション工作に対処するのはきわめて難しい。

だからこそ、何度も指摘してきたように、ディスインフォメーション対策を意図的に身につける「教育」が必要なのだ。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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