欧州の「悪」:たとえば誠実さのかけらもないのメルツ首相

5月14日、日本のテレビをみていると、さかんにウォロディミル・ゼレンスキー大統領が「私たちはトルコでのプーチンとの会談を待っている」と発言したと伝えている。「もしプーチンが首都ではなくイスタンブールに飛ぶのであれば、私はすでにエルドアン大統領に信号を送っており、トルコ側は私たちが一緒にイスタンブールに飛ぶ準備ができている」とも語っているのだが、これだけを報道しても、ゼレンスキーの不誠実が伝わらない。

彼は、ウラジーミル・プーチン大統領が応じないことを見越して、何も知らない人々に、自分はウクライナ戦争の停戦・和平に積極的なのにプーチンが妨害しているとの印象を意図的に与えようとしているにすぎない。要するに、彼は不誠実であり、戦争を継続したくてたまらないのである。

 

いい加減にしろ!ゼレンスキー

もし本当に戦争を停止したいのであれば、彼はまず2022年9月30日付大統領令を取り消さなければならない。大統領令によると、同日のウクライナ国家安全保障・国防評議会の決定「ユーロ大西洋地域、ウクライナの安全を保証し、領土保全を回復するため、わが国の領土を併合しようとするロシア連邦に対するウクライナの行動について」(添付)を制定するとした。その決定の第一項目には、「ロシア連邦のプーチン大統領との交渉実施は不可能であると定める」とある。したがって、この大統領令を廃止しないかぎり、プーチンとの直接交渉は法に違反することになる。

プーチンは、この問題点について、過去に何度も指摘してきた。本当に、プーチンと会談したいのであれば、ゼレンスキーはまず、この大統領令を破棄し、プーチンとの交渉を法的に可能にしなければならない。あえてゼレンスキーがこうしないのは、プーチンを怒らせて交渉に臨めないように促すための戦術なのだ。

このセコイ、最低の政治家であるゼレンスキーの肩をもっているために、西側のオールドメディアは彼のひどさを一切報道しないのだ。

 

ドイツのメルツ首相の悪辣非道

こんなゼレンスキーを非難することなく、停戦・和平に消極的なのはプーチンであるとみせかけて、ドナルド・トランプ大統領から軍事支援を受けつづけようとたくらんでいるのが欧州の政治指導者らである。ウクライナと米国で結ばれた「米・ウクライナ復興投資基金の設立に関するウクライナ政府とアメリカ合衆国政府間の協定」だけを公表し、これを支える「リミテッド・パートナーシップ契約」などのサブ協定を隠蔽しまま協定だけの批准を強行したゼレンスキーを批判しないのは、米国による植民地主義および、ゼレンスキーによる非民主的権威主義を欧州の政治指導者が容認していることの証だ。

ここで、最近、ドイツの首相に就任したばかりのフリードリッヒ・メルツのひどさを紹介しておきたい。それは、つぎのような許しがたい暴挙についてである。

メルツは一貫して、前任のオラフ・ショルツ首相がウクライナへの軍事支援に消極的だったことを批判してきた。 そのため、彼は、より多く、より早く、そしてもっとも重要なこととして、より公然と支援することを要求した。そして、 彼の圧力により、ドイツ政府は軍事援助の額を公表するだけでなく、連邦軍のウェブサイトで定期的に詳細な報告を更新するようになった。ところが、この男は自分の立場を180度転換した。つまり、まったく信用できない、道徳心をもち合わせていない、最低最悪の政治家ということになる。

5月12日付のドイツ語の記事は、「メルツ首相が再び180度の転換を図った」という文ではじまっている。彼は2022年当時、「もし連邦首相になった場合、何を変えるか」との質問に対して、「私は国民により良い情報を提供する」と答えたと紹介されている。武器の輸送経路を秘密にすることは正しいが、何が輸送されているかについては、国民に情報を提供しなければならないというのである。この批判を受けて、ショルツ首相(当時)は武器供与の公表を開始する。ところが、メルツは就任直後、ボリス・ピストリウス国防相と協議の上、ウクライナへのすべての武器供与の公表を停止することを決定した。これにより、メルツは、2022年2月から6月にかけてのロシアのウクライナ侵攻後の数カ月間、ショルツ首相の下で行われていた秘密主義の政策に戻したのである。

ウクライナの外交官アンドリー・メルニク元駐独大使は、このメルツの態度変更を厳しく批判している。ウクライナ社会にとって、ドイツからどのような武器が、どのくらいのスピードで供給されているかを知ることが重要なだけでなく、武器の供給内容の公表は、ロシアに対する強いメッセージとなり、予防効果もあるからだ。

しかし、「嘘つきメルツ」は、情報を隠蔽することで、ウクライナに提供を約束したタウルス巡航ミサイルの供給をめぐって、内外から反発を受けている状況を鎮静化しようとしているようにみえる。だが、それが意味しているのは、国民の「知る権利」への冒涜であり、民主主義の否定だ。こんなアホ、マヌケがドイツの首相なのだ。

 

アホなマクロン大統領

フランスのエマニュエル・マクロン大統領もまたアホそのものだ。本当にウクライナ戦争を停戦・和平へともち込みたいのであれば、不誠実なゼレンスキーに対して、先の2022年9月30日付大統領令を破棄し、プーチンとの交渉に臨む法的体制整備を促すのが当然だろう。そのうえで、停戦・和平に抗うのであれば、ウクライナへの軍事・財政支援を停止するとゼレンスキーを脅すべきなのだ。なぜなら、ゼレンスキーが戦争継続を望んでいるから、なかなか負け戦が終わらないからである。

ゼレンスキー、メルツ、マクロンといった欧州の「悪人」どもは、もしプーチンが来なければ、ウクライナとヨーロッパ諸国はモスクワが会談を妨害したと非難し、トランプにロシアに対する厳しい制裁を科し、他のあらゆる面でモスクワに圧力をかけ始めるよう求めることを計画している。この「悪人」を批判しないオールドメディアのせいで、欧州各国の国民はこうした悪人連中に騙されているのだ。

 

安全保障議論における「大嘘」

臆面もなく騙す人がいる。たとえば、5月12日付のウクライナの報道(「ヨーロピアン・プラウダ」)は、欧州国防委員アンドリアス・クビリウス(元リトアニア首相)へのインタビューが紹介されている。「ロシアはいつEUを攻撃するのか?」という誘導質問に対して、クビリウスはつぎのように答えている。

「ドイツやデンマークなどの諜報機関は、ロシアは2030年以前にわれわれを攻撃する(あるいは「第5条をテストする」と呼ぶ人もいる)準備ができている可能性があると言っている。

今後3年の間に、もっと早く攻撃する可能性もあると言う人もいる。

その理由は、ロシアは戦争経済に切り替えて大量に生産しているため、攻撃を仕掛ける能力をもつだろうし、さらに重要なのは、切り替えができなくなることだ。」

こんな考えをもつ人物が欧州国防委員を務めているのがいまの欧州なのである。

彼は明らかに「嘘」をついている。なぜなら、ロシアはEUを少なくとも通常兵器で攻撃することなど考えていないからだ。その理由は、ロシアが負けることを知っているからだ。そう、核戦争にもち込むことでしか、ロシアは勝てない。ゆえに、ロシアは、通常兵器による侵略がロシア連邦の存立そのものを脅かす場合には、核による反撃を躊躇なく行い、そして、勝利できるだろうと考えている。

おそらく現実を冷徹に分析すれば、ロシアの見通しは間違いとは言えまい。ゆえに、通常兵器によるロシアの侵略をがなり立てるのはおかしい。自国の軍国主義化のための大嘘であるといってもいいだろう。

こんなどうしようもない連中ばかりが欧州の政治指導者にいることをオールドメディアはまったく報じない。それによって、欧州は軍国主義に傾いている。まったく同じことが日本でも起きつつある。

このサイトで、アホとかマヌケとかバカとかいう批判の対象となる人物は増えるばかりだ。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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