28項目ウクライナ和平計画に込められたヴァンス副大統領の「怒り」
11月26日、「現代ビジネス」に「決定版! 28項目ウクライナ和平計画に込められたヴァンス副大統領の「怒り」」を公表した。29日夕刻に公開される「知られざる地政学」連載(118)においても、この問題を取り上げている。
「ミンディッチ事件」と同じく、和平計画についても、オールドメディアの報道はまったく話にならない。J・D・ヴァンス米副大統領が指摘するように、和平計画がロシア寄りであるといった指摘は「最善は善の敵」である典型例となっている。つまり、ウクライナの最善をめざせば、いつまでたっても戦争をつづけるしかなくなってしまう。善を求めるのであれば、ウクライナとロシアがともに譲歩して落としどころを見出すしかないのだ。
相互に譲歩せよ!
11月26日の午前中に読んだなかで、もっとも優れていると感じたのは、FTの「ウクライナは米国の和平案に関与する以外に選択肢がない」という記事であった。コラムニストのギデオン・ラフマンは、つぎのように書いている。
「キエフの不安や欧州の怒りに目を奪われると、ウクライナ自身が戦争の終結を必要としているという事実を見失いがちだ。不十分な和平合意は、真に独立した国家としてのウクライナの存続を脅かす可能性がある。しかし、戦争の継続もウクライナに深刻な損害を与えている。4年近くの間、この国は数十万人の犠牲者を出している。何百万人もの難民がウクライナを離れ、その人口はロシアによる全面侵攻以来、約1000万人、つまり約4分の1減少した。経済は生命維持装置に頼っており、出生率は急激に低下している。」
だからこそ、今回の和平計画を無碍に拒否することは許されない。なぜなら、戦争が長引くほど、ウクライナにとって和平の条件は悪くなるからだ。
オールドメディアの無定見!?
今後、読者に注目してほしいのは、日本のオールドメディアの報道ぶりである。ようやくラフマンや、The Timeのニール・ファーガソンのような優れたジャーナリストが相互の譲歩を声高に主張するようになったなかで、日本のオールドメディアがどんな報道をするかをよくも守ってほしい。
私は、2025年1月からずっと、「現代ビジネス」などで、ウクライナが敗色濃厚になったから、一刻も早く戦争を停止・和平を結ぶように求めてきた。その際、ウクライナが大幅譲歩をするのは当たり前である。それを親ロシアだとか、ロシア寄りと批判するのは、ヴァンスが嫌う偽善そのものだ。「最善は善の敵」であり、求めるべきは最善ではなく善なのだ。そうでなければ、戦争は決して終わらない。
欧州の政治指導者を糾弾せよ!
もう一つ、注目してほしいのは欧州の政治指導者の偽善である。こいつらもまた、「最善」を求めることで、ウクライナ戦争を継続させようとしてきた。だが、今回、ヴァンスおよびトランプは本気だ。彼らが本気になれば、欧州の政治指導者などコケにすればいいだけの話なのだ。
政治的にみると、ガザの和平過程で欧州の指導者はすでにコケにされている。2カ月前、トランプはイスラエルとハマス間のガザ戦争を終結させることを目的とした和平案を突然発表した。欧州の外交官たちは、あまりにイスラエル寄りであり、論理的に実行不可能であると内々に評していた。それでも、彼らはこの案を破棄するどころか、受け入れたのである。スターマーはすぐに声明を発表し、米国の提案は「大歓迎であり、トランプ大統領のリーダーシップに感謝する」とした。同時に、欧州関係者は水面下で提案の修正に取り組み、ガザへの援助や最終的なパレスチナ国家樹立の必要性について、より強固な文言を追加しただけだ。
おそらく、ウクライナの和平計画についても、同じことが起きてほしい。ヴァンスとトランプの「脅迫」があれば、欧州の政治指導者の主張など無視すればいいだけの話なのだ。



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