2019年1月2日のラジオ用原稿

2019年1月2日のラジオ用原稿

 

本年1月2日午後1時半から7分ほど、「ザ・ニュースペーパー」の新春特別番組に声だけ出演しました。

 

準備していた原稿のごく一部しかお伝えできなかったので、このサイトに準備した全文をアップロードしておきます。参考にしてください。

 

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塩原  明けましておめでとうございます。

塩原俊彦です。今日はよろしくお願いします。

 

(塩原先生、質問にお答えください。)

 

  • 昨今の官僚腐敗の原因は人事の官邸主導にある?

それもあります。よく指摘されることですが、中選挙区制から小選挙区制への移行に伴って、まず自民党内の権力一元化が進みました。自民党総裁への一極集中ですね。いまでいえば、安倍晋三自民党総裁・総理大臣の権限が巨大化しているわけです。そのうえで、安倍首相の意向が内閣人事局に直接反映しています。この仕組みが官僚をより「ヒラメ」にしていると思います。上ばかり見ている。忖度するわけですね。

ただ、官僚は「法の支配」(rule of law)のもと、政治家ではなく、法律に従うことが官僚の大原則なのです。それにもかかわらず、昨年の身体障碍者雇用の水増しにみられたように、あるいは、公文書改竄事件にみられたように、官僚は法律さえ守っていません。これは、もう絶望的な状況にあるのであって、政治家だけの責任ではありません。

その原因は、官僚を、あるいは政治家を、甘やかせてきた国民全体にあると思います。はっきり言えば、国民は官僚によって愚弄されています。本にも書きましたが、国民の「民」という漢字は、そもそも目を刺されている形を表しています。目を潰されて視力を失った人を意味する民は、唯々諾々と支配者に服従するしかありません。いい加減にこうした「国の民」たる国民であることをやめて、ひとりひとりが目を開いて政治家や官僚を糾弾しなければ、腐敗はなくらないと思います。

 

 

  • 日本は「役人天国」?海外では?

相変わらず、日本では役人が偉そうにしています。官僚がマスメディア、御用学者をしたがえて「上」から上意下達の誤った政策をとりつづけているようにみえます。

海外では、とくに、イギリスで、“public servant”が「公僕」としての公務員をイメージしてきたことは事実ですが、それも19世紀になって、“official”とか“civil service”という言葉で政府職員をさすことが一般的になります。アメリカでも、“civil service”が公務員を表す言葉として使用されていますが、日本のような「おかみ意識」を国民の側が官僚にいだくことはありません。

 

 

 

 

  • 日本の官僚の能力は?

日本の官僚は世界の潮流の変化について鈍感すぎます。とくに、世界的な反腐敗政策の変化とか、サイバー空間をめぐる急速な変貌について、まったく遅れています。だからこそ、2003年10月に国連で採択された国連腐敗防止条約について、それを日本が受諾したのは2017年7月でした。G20のなかで、最後に受諾ないし批准に至ったのが日本ということになります。

日本の官僚は自分たちに不都合なことはやらないのです。しかも、そうした事実を政治家が糾弾しない。マスメディアも批判しない。御用学者も口をつぐんできました。それが日本です。

 

 

  • 日本の官僚の反腐敗政策は遅れている?

まったく遅れています。官僚に資産申告義務を課し、それを公表するという制度が日本にはありません。国連腐敗防止条約20条では、合理的に説明できない、公務員の資産の大幅増加が不正に意図的に生じた場合に、犯罪として立件する法的措置やその他の措置を採択することを当事国に求めています。そのため、外国では、公務員に資産申告義務を課し、毎年の資産を報告させて「合理的に説明できない」資産の大幅増加の有無をチェックしています。やや古い資料ですが、2013年の世界銀行などの調査によると、アメリカ連邦政府の約2万4000人の幹部職員の所得・資産公開が行われており、約32万5000人が非公開で財務報告を行っています。しかし、残念ながら、日本の官僚にはこうした制度がありません。政治家については資産公開制度がありますが、これも「ざる」法で、まったく歯牙にもかけがたい状況にあります。

もちろん、資産申告制度を導入しても腐敗がなくなるわけではありません。しかし、こうした制度をつくれば、腐敗を抑止するための手段の一つにはなるはずです。厳しい罰則を設けて誠実に履行させるようにすれば、一定の効果はあがるでしょう。

 

 

 

  • 今後の官僚の反腐敗政策はどうあるべきか?

官僚の採用法、官僚の教育といったところから抜本的に改める必要があります。私がひとつだけもっとも大切であると思っているのは、2006年4月から遅ればせながら日本でも施行された「公益通報者保護法」の拡充です。これは、「ホイッスル・ブローアー」と呼ばれる警鐘を鳴らす人物を保護するための法律です。しかし、この法律はあくまで「労働者」が対象であり、公務員にこの法律は適用されません。いまだにホイッスル・ブローアー保護を怠った者への罰則がない状況を改めるべきです。加えて、公務員にも公益通報者保護法を適用すべきです。

ここで、エドワード・スノーデンという、米国の元CIAなどに勤務していた若者が米国の諜報機関による深刻なプライバシー侵害を暴露した話を思い出してほしいと思います。彼は、国家安全保障局(NSA)が中心となって、検索履歴、e-mailの送受信履歴、ファイル転送先、ライブ・チャットを含むメタデータを収集するシステム(プリズム)などで、アメリカの市民のプライバシーを侵害してきた事実を明らかにしたのですが、アメリカ政府は彼に逮捕状を出し、国際手配をしています。いまロシアにかくまわれている人物ですね(オリバー・ストーン監督の「スノーデン」を観てください)。

アメリカでは、ホイッスル・ブローアーを守る法律として、2002年に、サーベンス・オクスリー法が連邦法として制定されました。上場会社および証券会社が適用範囲とされました。取引における詐欺、株主に対する不正行為などを内部告発したこれらの会社の従業員に対するいかなる不利益をあたえることも禁止され、違反者には罰則が科されることになりました。しかし、このホイッスル・ブローアーはあくまで従業員保護のための法律にすぎません。公務員は対象になっていないのです。

官僚あるいは公務員は「法の支配」のもとにある以上、脱法行為はしないという前提になっているので、保護の対象ではないのです。ゆえに、スノーデンは政府によるプライバシー侵害を明らかにしてくれた、つまり公益に大きく貢献した人物であるにもかかわらず、米国には帰国できないのです。彼を守ってくれる法律がないからです。

そうであるならば、米国でも日本でも、国家であっても脱法行為をするという前提にたって、公務員の内部通報を認める制度をつくるべきなのです。それが難しいというのであれば、フランスに現にある犯罪訴訟法典第40条を日本でも制定すべきだと思います。それは、フランスの公務員は重罪であれ通常犯罪であれ検察当局に迅速な報告が義務づけられるというものです。

日本では、官僚が悪事を働くことはもはや「常識化」しています。そうであるならば、それを近くで見ている官僚に通報義務を課して、通告しなければ刑事犯として立件するという手法です。そうした制度をつくるのは、本当は残念なことですが、しっかりした制度を制定しなければ、官僚の独善的な行政支配はなかなか終わらないと思います。日本の政治家はこうした法改正を進めるべきです。マスメディアはこうした法改正の必要性を幅広く人々に訴えるべきなのです。

 

 

 

 

 

福本  最後に全国のリスナーに伝えたいことがあれば・・・。

 

塩原  リスナーに伝えたいことは・・・<以下フリートークで>。

官僚支配のつづく日本では、マスメディアもなかなか真実を伝えていないことに気づいてほしいということです。スポンサーや広告主を忖度する状況では、真実を報道することなどできません。まさに、国民は目を潰された状態にあります。

それでは、どうすればいいかというと、信頼のおける情報源をひとつでいいから確保して、真実に目を向けてほしいと思います。わたしは「21世紀龍馬会」という任意団体の代表を務めています。そのサイトにときどきアクセスしてみてください。きわめて重要な問題が適宜紹介されています。

たとえば、このラジオの生放送でしゃべるだけで、おそらくスポンサーからクレームがきたり、あるいは、ラジオ番組のプロデューサーがけん責処分になりかねない重大な問題があります。Docomo、Au、ソフトバンクが怒り出し、総務省が激怒する大問題です。そうした問題であるからこそ、新聞もテレビも取り上げません。だれも教えないので政治家はそうした問題そのものを知りません。そんな大問題だからこそ、わたしのサイトにアップロードした記事が検索エンジンからオミットされる事態になっています。要するに、検索してもヒットしない状態になっています。言論弾圧を受けているわけですね。

それは「若者よ もっと怒れ eSIMをめぐって」という記事です。21世紀龍馬会は検索すれば、すぐにアクセスできますから、そこからこの記事を探してみてください。国民の目を欺く行為がいまの日本で密かに進んでいることに気づいていただきたいと思います。

年のはじめだからこそ、多くの人に「目を見開いてほしい」と心から願っています。以上です。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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