すばらしい記事:AI is killing the web
2025年7月15日に出合った最高の記事を紹介しよう。それは、The Economistが公開した“AI is killing the web. Can anything save it? The rise of ChatGPT and its rivals is undermining the economic bargain of the internet”という記事である。14日付の記事だが、近く執筆を予定している「グローバルAIディヴァイド」関連の論考にもいかせる内容になっている。
AIのもたらす変化
この記事の核心は、「人工知能(AI)は、人々がウェブをナビゲートする方法を変えつつある」という指摘にある。 ユーザーが従来の検索エンジンではなくチャットボットに問い合わせをすると、リンクをたどるのではなく、答えが返ってくるというのだ。その結果、ニュース・プロバイダーやオンライン・フォーラムからウィキペディアのような参考サイトまで、「コンテンツ」パブリッシャーのトラフィックは「驚くほど減少している」という。
これまで、人々は検索エンジンで単語を入力し、出てきた答え、すなわち個別サイトをクリックして、細かい情報を入手してきた。そころが、生成AIを使って尋ねると、直接、答えが返ってくるために、人は情報を得るために個別のウェブサイトを訪問しなくなる傾向があるということだ。もちろん、生成AIの答えのなかに、関連するウェブサイト情報も含まれているが、それを改めてクリックして確認したり、詳細を知ったりする努力をしない人が多く、結局、個別ウェブへのアクセスが減ってしまうというのである。
これが意味しているのは、オンライン広告を使った収益化の困難だ。そのため、「コンテンツ制作者は、AI企業に情報の対価を支払わせるための新たな方法を早急に見つけようとしている」、とThe Economistは指摘している。
現状の紹介
記事によると、「1億以上のウェブドメインへのトラフィックを測定するSimilarwebは、6月までの1年間で、(人間による)全世界の検索トラフィックが約15%減少したと推定している」、と記している。もっとも影響を受けたサイトの多くは、検索に対して一般的に回答しているようなサイトであり、科学と教育のサイトは訪問者の10%を失い、レファレンス・サイトは15%を失ったという。さらに、 「健康サイトは31%を失った」と書いている。
さらに、ニュースについては、もっと恐ろしい事態に陥っている。AIによるオーバービューを開始して以来、ニュース関連の検索でクリックされない割合が56%から69%に上昇したとSimilarwebは推定している。 「つまり、10人に7人が、その答えを提供したページを訪問することなく、答えを得ているのだ」という現状を知ると、もう絶望感しかない。
こうした危機的な状況に対して、米国のニュースメディアはどう対応しているかというと、「多くの大手コンテンツ制作者は、法的な脅しを背景にAI企業とライセンス契約を交わしている」という。「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「ニューヨーク・ポスト」などを所有するニュース・コーポレーションは、OpenAIと契約を結んだ。同社の子会社2社は、別のAI回答エンジンであるPerplexity社を提訴している。「ニューヨーク・タイムズ」は、OpenAIを訴える一方でアマゾンと取引を行った。
深刻な事態
こうした情報を知ると、日本の新聞社などがどうしようとしているのか、大いに気なる。だが、残念ながら、こうしたもっと最先端の情報はほとんど公表されていない。要するに、重要な情報を適時に公開できるだけの能力をもったジャーナリストが育っていないのである。最前線、最先端の動きを知る者自体が極端に少ないから、まあ、仕方ない話かもしれないが。
ここで紹介した最先端の事態は、「インターネットを存続させ、民主主義を存続させ、コンテンツクリエイターを存続させるためには、AI検索はクリエイターと収益を共有しなければならない」という主張を生み出している。そう、事態は深刻であり、生成AIは世界中にきわめて深刻な問題を提起しているのだ。



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