偽りの世論調査という重い課題
先週、もっとも興味をもった記事は、The Economistの「偽の世論調査をめぐる、奇妙でありながら予測可能な事例」という記事であった。要するに、偽りの世論調査によって、選挙候補者を追い落とし、民主主義の根幹をなす選挙の信頼性を貶める事件が実際にあったことが紹介されている。
米ミシガン州で起きた事件
データジャーナリズム団体『FiftyPlusOne』が10月20日に発表した調査によると、「ウェッジウッド・ポールズ」(Wedgewood Polls)という団体が調査結果を捏造していたことが判明した、と記事は書いている。この発見に先立ち、8月には『ロサンゼルス・タイムズ』が同市の市長候補に関する偽の世論調査を暴いていた、と付け加えている。
ミシンガン州の次期上院議員をめぐる選挙戦の民主党候補をめざす予備選の段階で、6月下旬、マロリー・マクモローは躍動感あふれる左派のアブドゥル・エル=サイードと、既成勢力に支持された中道派のヘイリー・スティーブンスの間に挟み撃ちにされ、登録有権者のわずか9%しか支持を得ていないことを示す世論調査が公表された、そのため、記者たちは彼女がいつ撤退するのかと問い詰め、彼女は7月5日に撤退を表明した。
ところが、この世論調査が捏造だったというのである。ウェッジウッド・ポールズは中間選挙を前に、15件の世論調査結果を公表した。その後、The Economist誌の元記者であるG・エリオット・モリス氏が率いる「フィフティ・プラス・ワン」は、そのデータが偽造であるという情報を入手した。モリスとその同僚たちは、ウェッジウッドの数値と、同社が利用したとされるデータ提供業者からのデータを照合することで、偽造を確認した。識別番号の不一致が、詐欺師たちの正体を暴いたのである。
こうした詐欺まがいの情報操作が横行すると、選挙結果そのものに影響をおよぼすこともできる。世論調査に多額の費用を投じる傾向にある選挙運動や政治団体は、そのカネで世論調査結果そのものを、自候補を有利なるように改変させることもできる。米国らしいのは、選挙に数十億単位の賭けが行われる予測市場において、こうした操作によって多額の利益を得られることだ。
世論調査機関への監督体制を強化せよ!
こうした現実を目の当たりにして、The Economistは、世論調査機関への監督体制の強化を求めている。「たとえばブラジル、韓国、フランスでは、世論調査会社は、その業務を監視する国家当局に情報を提出しなければならない」、とThe Economistは紹介している。8月、ブラジル最高選挙裁判所は、ある世論調査会社に対し、調査結果が誤解を招くものではないという指摘はなかったものの、調査に関する情報が不十分だったとして、5万3000レアル(1万600ドル)の罰金を支持したという。
こうした国での監視体制の現状をよく検証して、米国でも、もちろん、日本でも世論調査機関への監督強化を行うべきだろう。
蛇足を書いておくと、日本の新聞社やテレビ局など、マスメディアが実施する世論調査も監督対象にすべきなのは当然だ。私からみると、きわめていい加減な調査が行われているように思われるからだ。



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