ウクライナの現実:検事総長が「詐欺コールセンター」を庇護か なぜかオールドメディアが報道しないウクライナの恥部 【要拡散】

米国や欧州などからの支援を受けてきた、ウクライナの汚職取締機関である国家反腐敗局(NABU)は9月4日夜、同機関と特別反腐敗検察(SAPないしSAPO)は、ウクライナ検事総長府の職員が率いる犯罪組織を摘発するための特別作戦を実施すると発表した。同犯罪組織は、「詐欺コールセンター」のネットワークを庇護し、資産洗浄に関与してきたとみている。4日付の「ウクライナ・プラウダ」によると、NABUとSAPはすでに、ウクライナ検事総長事務局の国際・法的協力局副局長であるセルゲイ・クロピヴァを拘束した。

同日付の「ウクライナ・プラウダ」の別の記事は、NABUとSAPが、ルスラン・クラフチェンコ検事総長、その副検事総長のマリア・ヴドヴィチェンコ、およびオデーサ州行政庁長官のオレグ・キーパーに対し家宅捜索を行っていると報じた。

捜査当局の主張によると、検事総長府の高官をはじめ、同機関の元職員や現職職員らがコールセンターから賄賂を受け取っていた一方、その見返りとして、検事総長府の関係者らは詐欺師たちを庇い、彼らの所得を合法化する、すなわち資金洗浄する手助けをしていたという。NABUとSAPは、この手口がクラフチェンコの利益のために行われていたとみているという。

事件は、「カルタゴ」事件と呼ばれている。古代ローマの政治家・元老院議員である大カトンは、演説の最後に必ず「カルタゴは滅ぼされるべきである」という言葉を付け加えたことで非常に有名だが、おそらくNABUは、国家の最高指導者たちに根ざしたウクライナ政権内の汚職を「カルタゴ」に見立てて、滅ぼそうとしているのだろう。

9月6日になると、クラフチェンコ検事総長は、「私は違法コールセンターの隠蔽とは一切関与しておらず、そのような活動を助長するよう指示したこともなく、そのために検事総長の権限を行使したこともない」、とテレグラムに投稿した

 

一転、検事総長は辞任を申請

ところが、7日の夜遅くになって、クラフチェンコは、「検事総長の職を辞任する意向を表明する」と同じくテレグラムに投稿した。「これは政治的な決断である。そして、私はそれを自覚した上で下した。検事総長の職が政治的対立の道具として利用されることを望まない。告発に関する私の立場は変わらない」とも書いた。

実際に、彼が検事総長職を辞めるには、最高議会(ヴェルホーヴナ・ラーダ)の承認が必要となる。議会での採決が行われるまでは、クラフチェンコは引き続き同機関の長を務めることになる。

もし議員たちが彼の辞任を可決すれば、検事総長代行には彼の第一副検事総長が就任することになる。現在、その役職にあるのはマリア・ヴドヴィチェンコだが、彼女もまたゼレンスキー大統領に完全に忠実であり、その意のままに操られている。ただし、前述したように、彼女も家宅捜索を受けており、すんなり彼女を検事総長代行に据えることが可能かどうかは未知数だ。

興味深いのは、クラフチェンコが辞任の意向を固めたのが、ゼレンスキーおよび「国民の僕」党の党首ダヴィド・アラハミアとの会談後であったことだ。実は、制度上、国会議員に対して容疑を告発できるのは検事総長に限られている。ゆえに、ゼレンスキーは自分の意のままになる人物を検事総長に据えることで、与党「国民の僕」党の国会議員を守る一方で、与党の議員を思うままに使ってきた。その意味で、検事総長のポストが自分に忠誠を誓う人物以外の者に渡ると、ゼレンスキーは国会運営を主導できなる可能性が高い。だからこそ、ゼレンスキー、アラハミア、クラフチェンコは謀議する必要があったのだ。

何とかゼレンスキーに忠実なヴドヴィチェンコを検事総長代行にさせるか、あるいは、別の人物を探すかを検討しなければならない。たとえば、2024年から2025年にかけて、アンドレイ・コスティンの検事総長辞任後からクラフチェンコの任命までの間、7カ月以上ウクライナ検事総長代行を務めていたアレクセイ・ホメンコを同代行に復帰させることもありうる。

いずれにしても、ゼレンスキーは、検事総長、あるいは、検事総長代行の地位であっても、そのポストに自分の意のままに人物を据えるようにあらゆる手を尽くそうとするだろう。そうすれば、彼は今後も、アラハミアやその他の親大統領派の議員たちに対する犯罪容疑の通知を阻止しつづけることができる。それがゼレンスキーの権力の源泉なのだから、重大問題なのだ。

 

逮捕・拘束されたクロピヴァ副局長

ここで、9月6日、裁判所によって逮捕され、保釈金を1億2000万フリヴニャ(230万ユーロ)に設定された副局長セルゲイ・クロピヴァについて説明してみよう。彼は、2022年、イリーナ・ヴェネディクトヴァ検事総長(当時)が競争選考を経ずに、夫の元同僚であるクロピヴァを管理職に任命したことで、クロピヴァが急浮上する。当時、ヴェネディクトヴァは、経済犯罪および国家のサイバーセキュリティを担当する新たな部門を設立した。この部署のトップに公募なしに就任したのが、以前サイバー警察でキーウ支局長および第一副支局長を務めたことのあるクロピヴァであった。

クロピヴァ氏は検事総長府に赴任する前、2024年にクロピヴァはオデーサ州軍事行政庁でオレグ・キペルの副官を務めていた。この役職において、彼はデジタル開発、デジタルトランスフォーメーション、デジタル化を担当していた。その後、クロピヴァは検事総長府の管理職に復帰した。キペルは2023年5月末にオデーサ州行政庁の長に任命されていた。彼は幅広い政治的野心をもつことで知られており、それは当時の大統領府長官アンドリー・イェルマークとの親密な関係によって支えられていたという(「ストラナー」を参照)。つまり、法律家であったイェルマークが自分の息のかかった人物らのネットワークを構築していたことがわかる。そのネットワークの最上層にゼレンスキーがいた。

実は、クロピヴァの運転手や、彼の愛人とみられるエリザベータ・イヴァフネンコ――も保釈金付きで拘束されている。こうして、NABUやSAPは「カルタゴ」事件の全容を慎重に捜査してきたのだ。

 

捜査結果

すでにSAPの検察官は、クロピヴァがキーウ近郊の検事総長の自宅で改修工事を行い (その住宅は申告されていないが、クラフチェンコによれば、最近になってこれを借りており、申告書に記載する予定だという)、そこに発電機を設置し、2人のマドリードへの出張を計画し、さらにクラフチェンコの妻のために米国へのビザを取得していたことが示されている。つまり、クロピヴァとクラフチェンコ検事総長の蜜月関係は明確なのだ。

「ZN」によると、汚職対策当局は、「カルタゴ」作戦の一環として、コードネーム「シェフ」と呼ばれる人物が登場する新たな録音記録を公開した。捜査当局は彼の名前を明かしていないものの、同人物が以前、税務局を率いていたことを指摘している。さらに、録音記録ではミドルネームの「アンドレイエヴィチ」と呼ばれている。「これらの事実すべてが、「シェフ」とはルスラン・クラフチェンコ検事総長である可能性が高いことを示唆している」とはっきりと指摘されているのだ。ただし、前述したように、クラフチェンコ自身は、コールセンターへの保護工作に関与していることを否定している。

 

詐欺コールセンターと庇護の仕組み

ここで、9月6日付のZN.UAが報じた「詐欺コールセンター」(Scam call centres or Scam call centers)と庇護の仕組みを説明する。ウクライナには約2000の詐欺コールセンターが活動している可能性がある。そのうち1000か所以上は、この業界では「ホワイト」と呼ばれている。それは合法的に運営されているからではなく、権力による庇護を受けており、毎月の「利用料」を支払っているため、家宅捜索を恐れる必要がないからだ。

このシステムに組み込まれていないセンターは、「ブラック」または「パルチザン」と呼ばれている。ZN.UAの取材相手によると、まさにこうしたセンターこそが、見せしめ的な家宅捜索やコールセンター対策の「見せかけ」の標的となることがもっとも多いという。つまり、こうしたオフィスの閉鎖は、単なる法執行活動であるだけでなく、すでに保護料を支払っている者たちにとって、競合相手を排除する手段にもなり得るのである。

このシステムは長い間、いわゆる「ワンストップ窓口」を通じて運営されていた。情報筋によると、1000カ所を超える「合法」コールセンターの各々が、そこに毎月約2万ドルを支払っていたという。資金は主にウクライナ保安局(SBU)の代表者によって集められ、その後、隠れ蓑として関与していた組織間で分配されていた。

この「ワンストップ窓口」の裏側を覗いてみると、情報筋によれば、そこにはSBU、軍参謀本部情報総局(GRU)、国家警察戦略捜査局、検察庁、金融監視庁、さらには国境警備局の個々の代表者たちの姿が見えるという(資金の具体的な分配メカニズムや各組織の代表者の役割については、まだ検証が必要である)。

しかし、おおよその試算でも、この市場の規模の大きさがうかがえる。1000カ所以上の「保護対象拠点」があり、それぞれが2万ドルを支払っていたとすれば、月間2000万ドル以上に達する。これは「月額利用料」でも、コールセンター自体の利益の総額でも、被害者から奪われた資金の総額でもなく、犯罪ビジネスを安全に運営するために治安当局に支払われた可能性のある報酬である。

情報筋によると、以前は2万ドルごとに3000ドルが検察当局の関係者に支払われていたという。ルスラン・クラフチェンコが検事総長に就任した後、この割合を7000ドルに引き上げ、各拠点からの総「月額支払い額」を2万ドルから2万4000ドルに増額することが決定されたとされる。これにより、毎月の支払総額は2000万ドル超から2400万ドル超へと増加し、検察当局関係者の取り分は300万ドル超から700万ドル超へと拡大した可能性がある。

なぜこんなことができたかというと、クラフチェンコは2025年6月、検事総長就任直後、コールセンターを厳しく取り締まるデモンストレーションを行ったからだ。ジュネーブに拠点を置き、国境を越えた組織犯罪の研究に取り組む非政府組織Global Initiative Against Transnational Organized Crime(GI-TOC)が2026年4月に公表した報告書「「キエフからの電話」  ウクライナにおける詐欺コールセンターの現象」によれば、「新任の検事総長の指示により、法執行機関は2025年7月に取り締まりを開始し、ドニプロだけで25カ所のコールセンターを閉鎖した」。この勢いは年後半を通じて続き、さらに数十カ所のコールセンターが閉鎖された。同年12月には、ウクライナは欧州の法執行機関パートナーと協力し、キーウ、 ドニプロ、イヴァノ=フランキフスクに拠点を置き、47人の欧州人から100万ユーロ近くを騙し取っていたものを摘発したという。

こうすることで、犯罪組織を脅したのだ。しかし、「まさにこの再配分が、これまでの均衡を崩す原因となった可能性がある」とZN.UAは指摘している。新たな要求は、コールセンターのオーナーの一部や、おそらくはシステムの他の関係者にとっても受け入れがたいものだった。そのうちのだれかがNABUに情報を提供し、それが反腐敗機関が検察部門に踏み込む手掛かりとなった可能性がある。そしてまさに、「貪欲さが彼を破滅させた」とみなすことができる。

 

めちゃくちゃなウクライナ

どうだろうか。ウクライナは「頭から尻尾まで腐りきっている」と考えたくなる私の気持ちも理解してもらえたのではないか。

それにもかかわらず、オールドメディアはこうした疑念を報道しない。少なくとも、9月9日時点では報道しない。こいつらも、腐りきっているのではないか。それが私のいだく危惧である。

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塩原 俊彦

(21世紀龍馬会代表)

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